額装が印象深いヨーロッパの街並み

観光旅行などでフランスの街中を歩かれた方の印象のなかに、額縁に収められた写真や絵画はどのくらいみつかったでしょうか。日本国内の都心部においてオシャレなカフェなどを訪れても、なんだか物足りないと感じるのは、まさに額縁の存在であったりするのです。

ヨーロッパの街並みの中には、必ずと言ってよいほど、写真や絵画などのアートを飾るためのフレームたちが存在しています。額縁のある風景に慣れ親しんでしまうと、日本家屋のように壁に何も飾らないインテリアが殺風景にも感じられてしまうのです。

額縁はまさに家具でもあり、自宅風景のなかには必要不可欠な存在でもあります。額縁は室内の空間をデザインし、さらには収められた作品の存在をも際立たせてくれるのです。

近年では大量生産された既製品が、街中のショップに溢れんばかりに陳列されておりますが、額装はそもそも大量生産されるべきものではなく、作品のためにオートクチュールされるべきものなのです。ポストカードを一枚壁に飾る際にも、その絵柄に合わせたフレーム選びが問われてくる世界なのです。

シャガールを装飾する夢


幻想という言葉がもっともしっくりくるフランスの画家マルク・シャガールは、幻想という名の世界観をオリジナリティあふれるセンスで描いた世界的にも有名な画家の一人です。フランスの画家マルク・シャガールと紹介文が添えられていることが多いと思われますが、彼の故郷はロシアであったそうです。

パリでアトリエを構えたシャガールは、故郷であるロシアへ帰郷した時代もあったようですが、故郷には居場所をみつけられなかった様子からパリでの活動を再開させたようです。シャガールの作品を語る際には、妻であるベラ婦人の事が紹介される事がありますが、シャガールが独特な幻想的な作風を生み出した影響は妻であるベラの存在が大きかったようです。

フランスをナチスドイツが占領した1941年にアメリカへの亡命を果たすようですが、奇しくも3年後には妻を病死で失うこととなり、最愛の妻を失ったシャガールは悲しみのあまり、その後1年間は作品に向かうことはなかったようです。

終戦を迎えた頃、パリに戻り制作活動を再開したシャガールは97歳の死去まで作品への意欲は衰えなかったようです。シャガールは別名「愛の画家」などとも呼ばれ、その愛妻家ぶりがとても有名であります。夫婦や家庭の円満を願って、シャガールの作品のレプリカをご自宅にお求めになる方も多いようです。

もしオリジナリティあふれる幻想的な作品の多いシャガールの作品を自宅に装飾するとしたら、額との相性としては、シンプルな額装よりもリッチなデザインの額縁が似合うのではないかと個人的には考えております。