額縁というと装飾をしてあるイメージがありますが、16世紀の半ばになると、木材の木肌をそのまま使った額縁が多く使われるようになりました。木材は、クルミやツゲ、黒檀などが使われており、金めっきを施してあるのは細部だけで、ほとんど木肌が見える状態です。ブロンズ製である場合も、同じです。基本であるデザインはシンプルなものでしたが、外の縁の細部は非常に手の込んだ作りになっていました。例えば、16世紀後半に『三悔士の礼拝』が納められた、ビーテル・ブリューゲルのクルミ材の額縁が分かりやすい例になっています。おおよそ140センチ×112センチの大きさになっており、額縁のコーナーの部分がカットされており、額縁全体のサイズを切り詰めています。細部には非常に細かく、複雑な金めっきが施されていますが、こちらも目を見張るほどの出来と言われています。